ABMとは?アカウントベースドマーケティングの進め方・メリット・KPI設計を解説

ABMとは?アカウントベースドマーケティングの進め方・メリット・KPI設計を解説

BtoBの新規開拓で「狙いたい企業は決まっているのに、なかなか商談につながらない」「営業とマーケティングが別々に動いている」と感じている企業は少なくありません。こうした課題への有効な考え方が、ABMです。

ABMとは、受注価値の高い企業をあらかじめ選び、その企業の課題や意思決定者に合わせて営業・マーケティング活動を設計する手法です。大量のリードを集めることではなく、優先度の高い企業との関係を深め、受注や取引拡大につなげることを目指します。

この記事でわかることは、次の3点です。

この記事でわかること

  • BMは、受注価値の高い企業を選定し、企業ごとに営業・マーケティング活動を設計する手法
  • ABMは、ICPの定義から対象企業のTier分け、アカウントプラン作成、複数チャネルでの実行まで順番に進める
  • ABMでは、商談数や受注額だけでなく、キーマン接触数や接触部署数など企業単位のKPIで成果を測定する

ABMとは、重要な企業を個社単位で攻略するBtoBマーケティング手法

ABMとは、**Account Based Marketing(アカウントベースドマーケティング)**の略です。

自社にとって受注価値が高い企業を「アカウント」として選定し、その企業の事業課題、組織体制、意思決定者に合わせて、営業・マーケティング活動を個別に設計します。

たとえば、営業代行会社がSaaS企業の新規開拓を支援する場合を考えてみましょう。

一般的な新規開拓では、「従業員数100名以上のSaaS企業」といった条件でリストを作り、広く架電やメールを行うことがあります。一方、ABMでは、特に取引を深めたい20社から50社程度を選びます。その上で、各社の採用計画、営業組織、直近の事業方針、導入中のツールなどを調べ、誰にどのような価値を伝えるかを設計します。

つまり、ABMは単にリストを絞って営業することではありません。

優先企業ごとに受注までの仮説を立て、営業とマーケティングが連携して関係をつくる取り組みです。

なお、「ABM」にはApple Business Managerを指す用法もあります。本記事では、BtoBマーケティングにおけるアカウントベースドマーケティングについて解説します。

ABMと従来のBtoBマーケティングの違い

リード起点と企業起点の違い

ABMを理解するには、従来のリードベースドマーケティングやデマンドジェネレーションとの違いを押さえることが重要です。

ABMとリードベースドマーケティングの違い

リードベースドマーケティングは、見込み顧客となる「個人」を増やし、育成して商談へつなげる考え方です。ホワイトペーパー、セミナー、広告、メルマガなどを通じて、幅広い接点をつくる施策が中心になります。

一方、ABMは「企業」を起点に考えます。

比較項目ABMリードベースドマーケティング
起点企業・組織個人の見込み顧客
対象優先度の高い企業を選ぶ幅広くリードを集める
目的大型受注・取引拡大・LTV向上商談母数の拡大
アプローチ企業ごとに個別設計属性や行動に応じて分類
主な評価単位企業単位の関係性・案件進捗リード数・商談化率

たとえば、資料をダウンロードした担当者1名だけを追うのがリードベースドの考え方です。ABMでは、同じ企業内にいる決裁者、現場責任者、情報システム部門、購買部門なども含めて、企業全体の意思決定構造を捉えます。

ABMとデマンドジェネレーションの違い

デマンドジェネレーションは、市場全体に自社の価値を伝え、見込み顧客の関心を高める活動です。まだ課題を自覚していない層も含め、将来の商談候補を増やす役割があります。

ABMは、すでに優先すべき企業を定めた後の攻略戦略です。

両者は対立するものではありません。市場全体への情報発信で接点を増やしつつ、重要企業には個社別の提案や接点設計を行うことで、営業活動の精度を高められます。

ABMとBDRの違い

ABMとBDRは混同されやすいものの、指す範囲が異なります。

ABMは、重要企業をどのように攻略するかを定める戦略です。対してBDRは、主に新規開拓を担う営業活動や役割を指します。

項目ABMBDR
位置づけ重点企業を攻略するための戦略新規開拓を担う営業活動・役割
起点企業単位企業・担当者へのアプローチ
主な設計内容対象企業、関係者、訴求、接点、KPI架電、メール、フォーム、商談化
目的重点企業との取引を創出・拡大する新規商談を創出する

たとえば、Tier1企業の営業責任者・事業責任者・情報システム部門に対して、どの順番で何を伝えるかを設計するのがABMです。その設計にもとづき、架電やメール、紹介依頼などで接点をつくる活動がBDRにあたります。

つまり、BDRはABMを実行する手段の一つです。ABMを始めたからといって、すべての企業に1社ずつ大きな工数をかける必要はありません。Tierごとに個別化の深さを変えることが重要です。

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ABMが向いている企業・向かない企業

ABMは、すべてのBtoB企業に同じように適した手法ではありません。個社ごとの調査や施策設計に工数がかかるため、受注単価や営業プロセスに合わせて判断する必要があります。

ABMが向いている企業

次のような企業は、ABMと相性がよい傾向があります。

  • 1件あたりの受注金額が大きい
  • 大手企業や中堅企業を開拓したい
  • 決裁までに複数の部署・役職者が関わる
  • 既存顧客へのアップセル、クロスセルを伸ばしたい
  • 自社の勝ちやすい業種・企業規模がある程度わかっている
  • 営業とマーケティングで情報を共有できる

特に、エンタープライズ向けSaaS、ITコンサルティング、人材サービス、製造業向けソリューションなど、1社の受注が事業に与える影響が大きい商材では、ABMの効果を検討しやすいでしょう。

ABMを急いで導入しなくてもよい企業

反対に、次のような状況では、まず営業・マーケティングの基盤を整えることを優先した方がよい場合があります。

  • 商材単価が低く、個社別の設計コストを回収しにくい
  • どの企業が自社に合うのか、まだ仮説がない
  • 受注理由・失注理由・商談履歴が記録されていない
  • 営業とマーケティングの役割や商談定義が統一されていない
  • 受注後の提供体制に余力がない

ABMは「有望企業を選べば成功する」手法ではありません。選定後に、継続して関係をつくり、仮説を修正できる体制が必要です。

ABMを始める前に決めるべき5つのこと

ABMは、ターゲット企業を決めるだけでは機能しません。実行前に、少なくとも次の5点を決めておきましょう。

決めること内容
ABMの責任者対象企業の優先順位や方針を最終判断する担当者
担当範囲Tier1企業を誰が担当し、誰が情報を更新するか
商談化の定義どの状態になれば営業へ引き継ぐか
情報の管理場所SFA、CRM、スプレッドシートなど、接点と次回アクションを集約する場所
振り返りの頻度対象企業ごとの進捗と仮説を確認する場

特に重要なのは、商談化の定義を営業とマーケティングでそろえることです。

たとえば「担当者と会話できた状態」を商談とするのか、「課題と導入時期を確認できた状態」を商談とするのかで、見るべき数字は変わります。定義が異なるまま進めると、マーケティングは成果が出ていると考えていても、営業は有効商談が足りないと感じる状態になりかねません。

成果が出る新規開拓は、どこから設計するのか。

ターゲット選定、初回接点のつくり方、KPIの設計・改善まで。MUSUBIが実務で用いる独自メソッドを通じて、新規開拓を仕組み化する考え方をご紹介します。

ABMを実施する3つのメリット

重要企業に営業・マーケティングの工数を集中できる

限られた人員や予算を、受注可能性や取引価値の高い企業へ優先的に配分できます。

すべての企業に同じ熱量でアプローチすると、営業活動は分散しがちです。ABMでは、Tier1の重点企業には個社別の提案や複数部署への接点づくりを行い、Tier2以降は業種・課題別に効率化する、といった設計ができます。

複雑な意思決定プロセスに対応しやすい

BtoBの商談では、最初に会話した担当者だけで導入が決まることは多くありません。

現場の利用者、部門責任者、決裁者、情報システム部門、購買部門など、複数の関係者が関与するケースがあります。ABMでは、企業内の関係者を整理した上で、それぞれが気にする論点に合わせて情報を届けます。

たとえば、現場責任者には業務改善の効果、決裁者には投資対効果や事業への影響、情報システム部門には導入負荷やセキュリティ面を伝える、といった設計です。

営業・マーケティングの活動を受注に結びつけやすい

ABMでは、優先企業・商談化の基準・次回アクションを共通で管理するため、部門ごとの活動を受注までつなげやすくなります。

ABMで起こりやすい失敗と対策

ターゲット企業を絞りすぎて、商談機会が減る

重点企業だけに集中しすぎると、短期的に商談数が不足することがあります。

対策は、対象企業をTierに分けることです。Tier1は個社別のアカウントプランを作成する重点企業、Tier2は業界・課題別にアプローチを設計する企業群、Tier3は通常のアウトバウンドやナーチャリングで接点をつくる企業群として扱います。

すべての企業に同じ工数をかけないことが重要です。

企業情報を集めただけで、アプローチにつながらない

企業の売上、従業員数、ニュースリリースなどを調べただけでは、商談にはつながりません。

情報は、次の4点に変換して初めて営業で使えます。

  • 相手企業で起きている変化
  • そこから想定できる課題
  • 自社が提供できる具体的な価値
  • 次に取るべき接点

たとえば「採用を強化している」という情報を見つけた場合、「営業人員を増やす計画があるのか」「採用だけで新規開拓をまかなう方針か」「早期にパイプラインを増やす必要があるのか」と仮説を立てます。その仮説を確認するために、誰へ何を聞くかまで決めることが必要です。

営業とマーケティングで優先順位がずれる

マーケティングはターゲット企業を選んだものの、営業は別の企業へアプローチしている。このような状態では、ABMは機能しません。

対象企業、商談化の基準、アプローチ履歴、次回アクションを共通で確認する場をつくりましょう。月1回の報告だけでは遅いため、重点企業については週次で確認するのが現実的です。

架電数・メール数だけで評価する

ABMでは、活動量も必要ですが、それだけでは進捗を判断できません。

重点企業に10回アプローチしても、適切な部署や役職者に届いていなければ、企業攻略は進んでいません。後述するように、キーマンとの接点、接触部署数、案件化の状況など、企業単位の指標を持つことが重要です。

ABMの進め方|20〜50社から始める6ステップ

ABMを進める6ステップ

ABMは、専用ツールを入れることから始める必要はありません。まずは対象企業を絞り、営業活動を再現できる形に整理するところから始めます。

1. 受注しやすい企業像(ICP)を定義する

最初に、自社が成果を出しやすい企業の条件を整理します。これをICP(Ideal Customer Profile)と呼びます。

ICPは「従業員数が多い企業」「売上が大きい企業」といった属性だけで決めません。自社にとっての取引価値と、受注できる可能性を両方見て判断します。

評価項目確認するポイント
受注価値想定単価、継続性、アップセル・横展開の余地
課題適合自社サービスで解決できる課題があるか
導入可能性予算、決裁構造、導入時期、導入負荷
接点可能性既存接点、紹介ルート、イベント参加、発信状況
戦略性導入事例化、同業界への波及、ブランド価値への影響

新規顧客だけを見て条件を決めるのではなく、既存顧客の中で成果が出ている企業を分析することが大切です。

たとえば、契約単価が高い企業でも、導入までに1年以上かかり、接点もつくれない場合は優先順位を下げる判断が必要です。反対に、初期の受注額は大きくなくても、複数部署へ展開しやすく、継続取引が見込める企業は重点対象になる可能性があります。

2. 対象企業を選び、Tierに分ける

ICPをもとに対象企業を選定し、優先度に応じてTier分けします。

Tierごとに個別化の深さを変える
Tier対象施策の例
Tier1特に受注価値が高い重点企業個社別の提案、複数部署への接点づくり、役員同席、個社向け資料
Tier2条件が近く、一定の受注可能性がある企業群業界・課題別のメール、架電、セミナー、事例コンテンツ
Tier3中長期で関係をつくりたい企業群メルマガ、広告、資料、通常のアウトバウンド

最初から100社以上をTier1にすると、個社別の設計ができなくなります。初回は20〜50社程度に絞り、実行と改善を回せる範囲で始めるのがよいでしょう。

3. 企業内の関係者と意思決定構造を整理する

ABMでは、担当者1名だけを追いかけません。企業内で誰が導入に関わるのかを整理します。

主に確認したい役割は、以下です。

  • 決裁者:予算や導入の最終判断を行う人
  • 導入推進者:社内で検討を進める人
  • 利用者:実際にサービスを使う現場担当者
  • 影響者:導入判断に意見を持つ関係部署や有識者
  • ゲートキーパー:購買、法務、情報システムなどの確認担当者

すべてを最初から把握するのは難しいため、商談や架電、メールのやり取りで少しずつ情報を更新していきます。

4. 企業ごとのアカウントプランを作成する

アカウントプランとは、特定企業をどのように攻略するかを整理した計画書です。

複雑な資料を作る必要はありません。まずは、以下の項目をスプレッドシートやSFAにまとめれば十分です。

項目整理する内容
目標商談化、受注、アップセル、部署拡大など
企業の変化事業計画、採用、組織変更、新サービス、拠点展開など
想定課題変化から仮説を立てた課題
関係者決裁者、推進者、利用者、影響者
提案価値相手企業にとって得られる具体的な変化
接点設計架電、メール、紹介、セミナー、広告、資料など
次回アクション担当者、期限、実施内容
検証指標接点数、キーマン接触、商談、案件化、受注など

アカウントプランは、作成して終わりではありません。接点を持つたびに、課題仮説や関係者情報、次の打ち手を更新します。

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アカウントプランの記入例

たとえば、営業組織を拡大しているSaaS企業を対象にする場合、次のように整理します。

項目記入例
企業の変化新規事業の立ち上げに伴い、営業職の採用を強化している
想定課題採用完了までに商談創出の体制が整わず、パイプライン不足が起きる可能性がある
接触先事業責任者、営業責任者、営業企画責任者
提案価値採用を待たずに、ターゲット選定から新規開拓の型を立ち上げられる
最初の接点事業拡大に伴う新規開拓体制について、15分程度の現状確認を提案する
検証したいこと内製化の方針、商談数の目標、採用・営業組織の立ち上がり時期

重要なのは、公開情報を並べることではありません。企業の変化から課題を仮説化し、その仮説を確かめるための接点を設計することです。

アカウントプランは、作成して終わりではありません。接点を持つたびに、課題仮説や関係者情報、次の打ち手を更新します。

5. 複数チャネルで接点をつくる

ABMでは、電話、メール、問い合わせフォーム、広告、イベント、紹介などを組み合わせます。

ただし、チャネルを増やすこと自体が目的ではありません。相手企業の状況や関係者の役割に合わせて、接点の役割を分けることが重要です。

チャネル主な役割
メール課題仮説や事例を伝え、会話のきっかけをつくる
架電担当部署や現状を確認し、仮説の精度を上げる
問い合わせフォーム代表電話では届きにくい企業へ、要点を絞って接点をつくる
イベント・セミナー複数の関係者と自然に接点を持つ
紹介信頼を補い、決裁者や推進者への到達確率を高める
広告・コンテンツ接触前後の認知形成や、検討テーマの理解を促す

重要なのは、各接点で伝える内容に一貫性を持たせることです。

たとえば、相手企業が新規事業を立ち上げている場合は、「新規事業の立ち上げ期に、どのように営業体制や商談創出を整えるか」という論点を軸にします。メールでは課題仮説を提示し、架電では現状を確認し、資料では他社の取り組みや設計方法を伝える、といった流れです。

相手企業の担当者にとって、毎回違う話題で連絡が来る状態は望ましくありません。複数チャネルを使うほど、メッセージの軸をそろえる必要があります。

6. 週次で振り返り、仮説を更新する

ABMは、最初のターゲット選定や訴求が完全に正しい前提で進めるものではありません。

週次で対象企業ごとの進捗を確認し、次のように改善します。

  • 接点が取れない:担当部署、連絡手段、連絡時間、訴求の切り口を見直す
  • 会話はできるが商談化しない:課題仮説、オファー、商談化の条件を見直す
  • 商談後に失注する:対象企業の条件、関係者の巻き込み、提案内容を見直す
  • 進行が止まる:次の判断者や必要な社内手続きを確認する

1社ごとの学びを、同じ業界・同じ課題を持つ他社のアプローチにも反映すると、ABMの精度が徐々に高まります。

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ABMのKPI設計|企業単位で進捗を見る

ABMでは、架電数やメール送信数だけで成果を判断しないことが重要です。

活動量は必要な指標ですが、重点企業との関係が前に進んでいるかを測るには不十分です。KPIは、結果KPIと先行KPIに分けて設計します。

結果KPI

最終的に見るべき指標は、売上や案件の進捗です。

  • 対象企業からの受注額
  • 商談化企業数
  • 受注企業数
  • 平均受注単価
  • アップセル・クロスセル額
  • 重点企業におけるパイプライン額

先行KPI

結果が出るまで時間がかかるため、途中の進捗も確認します。

  • Tier別の対象企業数
  • 接点を持てた企業数
  • キーマンと接触できた企業数
  • 1社あたりの接触部署数
  • 1社あたりの接触役職数
  • 次回アクションが設定されている企業数
  • 商談化率
  • 商談後の案件化率
  • 失注理由が記録されている割合

たとえば、重点企業20社を対象にしている場合、「20社へ架電したか」ではなく、「20社のうち何社でキーマンと会話できたか」「何社で次回アクションが設定されたか」を確認します。

ABMでは、個人の活動量よりも、企業攻略がどこまで前進したかを追うことが重要です。

ABMにおける営業・マーケティング・インサイドセールスの役割

ABMは、マーケティング部門だけで完結する施策ではありません。営業・マーケティング・インサイドセールスが、同じ対象企業に対して役割を分ける必要があります。

担当主な役割
マーケティングターゲット企業の分析、コンテンツ・イベント・広告による接点づくり
インサイドセールス仮説を持った一次接点、担当者・課題・検討状況の把握、継続フォロー
フィールドセールス商談の前進、提案設計、複数関係者の巻き込み
営業企画・責任者優先順位、KPI、商談定義、運用ルールの統一

特にインサイドセールスは、単にアポイントを取る役割ではありません。会話を通じて得た情報をアカウントプランに戻し、誰へ何を届けるべきかを更新する役割を担います。

インサイドセールスとフィールドセールスの役割や、両者が連携する際のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

ABMツールは必要?目的別の考え方

ABMを始めるにあたり、専用ツールの導入を検討する企業もあります。ただし、ツールはあくまで実行と管理を支える手段です。

ターゲット企業の定義や、営業・マーケティングの役割分担が曖昧な状態で導入しても、成果にはつながりにくいでしょう。

必要な機能は、目的ごとに整理できます。

  • 顧客データ整備:企業情報、グループ会社、既存取引、名刺情報などを整理する
  • CRM・SFA:商談、接点、担当者、次回アクションを共有する
  • MA:コンテンツ閲覧や資料ダウンロードなどの行動に応じて情報提供する
  • インテントデータ:検討の兆候や関心テーマを把握する
  • 広告配信:対象企業群への認知形成や接点づくりを行う

まずは、既存のCRMやスプレッドシートを使い、Tier1企業のアカウントプランとKPIを運用するところから始めても問題ありません。運用上の課題が明確になってから、必要なツールを選ぶ方が失敗しにくくなります。

ABMに関するよくある質問

ABMは新規顧客向けの手法ですか?

いいえ。新規開拓だけでなく、既存顧客のアップセルやクロスセルにも有効です。既存顧客はすでに関係者や利用状況を把握しやすいため、他部署への展開や別サービスの提案を設計しやすいという特徴があります。

ABMは何社から始めるべきですか?

最初は20〜50社程度が目安です。ただし、適正な社数は営業人数や商材の複雑さによって異なります。個社別に仮説を立て、接点履歴を更新できる社数に抑えることを優先してください。

ABMはどのくらいで成果が出ますか?

商材の単価、導入までの期間、既存接点の有無によって異なります。特に大手企業向けの新規開拓では、短期的な商談数だけで評価すると判断を誤ることがあります。キーマン接触、接触部署数、次回アクション、案件化といった先行KPIを確認しながら、継続的に仮説を改善することが重要です。

ABMとBDRの違いは何ですか?

ABMは、重点企業をどのように攻略するかを定める戦略です。BDRは、架電・メール・問い合わせフォームなどを通じて、新規商談を創出する営業活動や役割を指します。ABMでは、BDRを含む営業・マーケティングの活動を、特定企業の受注という共通目標に接続します。

まとめ|ABMは重要企業の受注までを設計する取り組み

ABMとは、受注価値の高い企業を選定し、企業ごとに営業・マーケティング活動を設計するBtoBの手法です。

単にターゲットリストを絞るだけでは、ABMとはいえません。企業の変化や課題を捉え、関係者を整理し、複数の接点を設計して、受注までの仮説を更新し続けることが必要です。

ABMを進める際は、次の4点を押さえましょう。

  • 既存顧客の実績から、受注しやすい企業像を定義する
  • 対象企業をTier分けし、投下する工数を変える
  • 企業ごとのアカウントプランを作り、営業・マーケティングで共有する
  • 活動量だけでなく、キーマン接触や案件進捗など企業単位のKPIを追う

重点企業を決めても、適切な接点設計と継続的な改善がなければ、商談にはつながりません。ターゲット選定からアプローチ設計、インサイドセールスの実行・改善までを一貫して見直すことが、ABMを成果につなげるポイントです。

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